2003-01-03:Panasonic Let’s note CF-R1インプレッション
1年半のあいだ連れ添った Fiva 206VL が2002年の大晦日に故障してしまい(マザーボードのトラブル)、年の瀬ですぐには修理に出せないので、替わりの開発マシンとして、職場から俗に言う R1 こと、Let's note CF-R1 を借りてきた。
なかなか使いやすくていいマシンなので、いろいろ使用雑感を書いてみようと思う。
以下、文中では CF-R1 と呼称することにする。
CF-R1 variants
Let's note CF-R1 はいくつかの違うバージョンが存在する。
古い順に R1R, R1P, R1N, R1M で、それぞれスペックが異なっている。
オフィシャルな情報は以下の通り。
CF-R1R : | 見つからず |
---|---|
CF-R1P : | http://panasonic.jp/pc/products/r1p/ |
CF-R1N : | http://panasonic.jp/pc/products/r1n/ |
CF-R1M : | http://panasonic.jp/pc/products/r1m/ |
本体の裏面に書いてある「品番」をチェックするとわかる感じ。
以下の記述は私が使っているCF-R1Pについて、ということになります。
不満点
ページの頭でホメておきつつ、いきなり不満点を挙げるのもどうかと思うが(苦笑)、人によっては致命的な点となりうると思うので、先に気になる点を書いておく。
なにかというと、それは、
インプットデバイスだ。
Let's note というとトラックボールというイメージの方が多いかもしれないが、CF-R1はタッチパッドである。
まぁ、私はトラックボールまんせーという人間ではないので、これは別にかまわない。それよりもボタンだ。
日常生活が X window system な私は3ボタンの真ん中のボタン、第3ボタンをよく使う。
まぁ、Windows を使う分には2ボタンで十分だし、ノートマシンでボタンが3つあるものが多くないことは知っている。
昔 Vaio 505SX を使っていたときも2ボタンでのエミュレーション(2つのボタンを同時押ししたときに第3ボタンとみなす)でなんとかなっていた。
しかし CF-R1 のボタンは以下の様になっている。
二つのボタンの距離が離れていて同時に押しづらい(なんだ、間にある無駄なパイロットランプは。。。)。
そしてボタンがわりに固いのである。
重さが 1kg をきるマシンなので、寝っころがってマシンを触ることも多い。
2ボタンの同時押しはちょっとカンタンとは言えない。
結局、小型の USB マウスを買って対処している。しょんぼり。
もう1つはキーボードのデザイン。上の写真のキーボードの左側、見えるかしら。
実は
一番左下のキーが Fn キー
なのである。
普段 XEmacs でコードを書いている私はコントロールキーを多用する。
しかも右小指のコントロールより、左小指のコントロールを押すことの方が多い(特に C-x C-f と C-x C-s)。
コントロールを押しているつもりでファンクションを押すこと、日に数十回。
これはけっこうストレスだ。
別にキーボードの左下らへんに窓キーとかがあるのは私はかまわない。
Aのとなりが Ctrl で左下が Caps でもかまわない。
そんなものは xmodmap でなんとでもなる。
でも
ファンクションキーは手が出せない。
ファンクションキーは複合技で用いるもの(たとえば Fn+F10 とか)であって、単体ではキーイベントを起こしてくれないからだ。
このコントロールの位置でも慣れれば大丈夫だよ、というアドバイスもいただいたが、いまのところはどうもダメである。
# 英語101キー配列でも日本語106配列でもコーディングできるのになぁ、私。
# 左下コントロールはどうも適応できない。。。
基本的なスペック
不満点を簡単に流すつもりが、しっかり書いてしまった。(^^;
では、CF-R1 のスペックを書いていこう。
正確なものはメーカーのページを見てもらえばいいので、ここでは一部だけ。
- 重さは 1kg をきる。AC アダプタも小型。
- CPU は mobile PentiumIII 800MHz。十分な速さだ。
- メモリは初期搭載が 128M。追加で 128M を足している。
- 画面は XGA。十分な広さ。12ドットフォントで 80×60 の xterm が2つ並べて表示できる。
- ディスプレイがきれい。新しいケータイほど画面がきれいなのと同じ感じ。
- バッテリーは3時間程度持つ(AirHや無線LANなしで)。
- Linux からバッテリー情報はとれている。
- Linux でサスペンド&レジュームができている。ハイバネは試していない。
- Linux でスピードステップもできるらしいが、試していない。
- USB端子は左右に1つずつあるのはいい設計だ。
- ファンがないので音は HDD の音しかしない。底面はまぁまぁ熱くなる。
- Linux で音は鳴らせている。
モバイル用マシンで 1kg をきるのはもはやアタリマエな気もする。
バッテリーが小さいのはいいね。
いままでが crusoe 600MHz の Fiva だったので、Pen!!!-800MHz な CPU パワーはうれしい。
Mozilla を使ってて苦にならない
のは web アプリ開発者として重要。コンパイルも速いしね。
スピードはあって困ることなし。
メモリが 256M なのは、Windows XP単体や Linux 単体で使う分には問題ないが、
Windows XP 上で VMWare を動かして PC-Unix を走らせたい
という向きには厳しいかもね。
そういう人は 256M のメモリモジュールを買ってください。
ちなみにハードディスクは 20G だが、バックアップ目的(?)として3G があらかじめ区切られている。
ハードディスクも駆動まわりが特殊で、ふつーの 2.5inch HDD では換装できないと聞いた。
まぁ、わたし的には問題のない容量なので、あんまり追ってない。
ウソついてたら指摘してください。
画面の広さは、これまたいままでが 800×600 だったから思うんだろうけど、やっぱり XGA は広くていい。
というかなんで XGA で出さないんだろう、CASIO は。
電源関係はサスペンドが出来るので十分満足。
ハイバネってあまり必要を感じない。
ハイバネするくらいなら shutdown するだろ。
起動にそんなに時間がかかるわけでもないし。
サスペンドは X の上でも、コンソールでも Fn-F7 で可能。復帰は電源ボタンで。
ついでに書いておくと、Fn-?? で Linux から使えているのは画面輝度の上下・スピーカーの消音・サスペンド。スピーカー音量の上下はうまくいっていない。
Vine Linux 2.6 のインストール・セットアップ
使い慣れているので Vine Linux を入れた。手順は以下の通り。
- ディスクのパーティションをいじって Linux を入れる場所を確保する。
- 純正の USB-FDD をつなげて Vine Linux の起動ディスクでインストーラーを起動。
- ネットワーク経由でがりがりバイナリをインストール。
- 起動できるようになったら追加でいろいろ設定。
では順を追って軽く解説。
パーティション確保
CF-R1 の HDD は上記の通り、3G のパーティションがあるので、はじめは 17G + 3G の2パーティションに分けられている。
後ろの 3G は vfat だが、前半の 17G(ここに WinXP が入っている)は NTFS である。困ったことに
現在 NTFS のパーティションサイズをいじれるフリーのツールは存在しない
ので、有償のツールを使うか、いったんはじめから入っている XP をステて、パーティションを切り直してから再インストールするなどして、Linux 用のパーティションを確保する。
まぁ、ここで Windows XP を削除して、Linux only なマシンにしてしまうのも
漢らしくていい
かもしれないが、あまりオススメはしない。(^^;
私は HD革命 があるので、付属のツールで 6G ほど確保した。
vfat なら fips とか presizer とかがあるんだけどねぇ。
インストーラー起動
インストーラーのフロッピーイメージはhttp://vinelinux.org/getvine.html#ViaFTPからたどって見つける。
ダウンロードして dd とか rawrite とかで作成。
インストーラーを起動すると有線LANをちゃんと認識してくれる(8139too モジュール)から、DHCP サーバのあるネットワーク環境でIP がちゃんともらえれば、あとはネットワーク経由でインストールを済ませられる。
バイナリの取得先も上記の Vine Linux のページからてきとーに。
1.5M Flet's ADSL な環境で、インストールに2時間以上かかってしまった。
パッケージを選びすぎた。(^^;
ビデオチップもビデオメモリ容量もインストーラーが自動認識してくれるので、仰せの通りの設定で X がちゃんと立ち上がる。すばらしい。
lilo について
質問があったので補足。lilo は /dev/hda の MBR に入れました。
またインストーラーのメニューでの起動ディスクの作成はスキップしてます。
grub とか他のブートローダについては知りません。(^^;
Project Vine をはじめ、さまざまな開発者の皆様に感謝しつつ、次へ。
セットアップ
とりあえずは /etc/apt/sources.list を編集して、apt-get update; apt-get upgrade。
サウンドの設定は付属の /sbin/sndconfig で設定できる。
具体的には /etc/modules.conf に以下が追加されるのかな。
alias sound-slot-0 i810_audio post-install sound-slot-0 /bin/aumix-minimal -f /etc/.aumixrc -L >/dev/null 2>&1 || : pre-remove sound-slot-0 /bin/aumix-minimal -f /etc/.aumixrc -S >/dev/null 2>&1 || :
あとは CF-R1 specific なことはなく、ふつーにセットアップ。
私の場合、
- ネットワークの設定。/etc/sysconfig/network-scripts/ifcfg-eth0 とか。
- Palm 関連。jpilot を入れて ln -s /dev/ttyUSB0 /dev/pilot とか。
- XEmacs を入れる。
- メール関連。wl と im を入れる(私は人種3)。
- チャット関連。irchat-pj をビルド。
- ブラウザ関連。Mozilla を入れる。
- PostgreSQL をビルド。
- apache のビルド。mod_ssl,PHP,mod_dav あたりもビルド。
といったあたりかしら。
結論
インプットデバイスの問題はあるものの、この Let's note CF-R1 は
買い
だと言える。キー自体は叩きやすいしね。
大きさ・重さは持ち運びに問題なし。
サスペンドが効くので短時間の移動(例えば電車の乗り換えとか)でも安心。
CPUパワーを十分に持ちながら、放熱をファンに頼っていないのでうるさくない。
オススメです。