2012/02/26 (日)

2012-02-26:武田宗典 道成寺の会

武田さんの自主公演の会。http://takedamunenori.com/dojoji.html

番組表はこちら。

能・安宅 シテ武田宗和
狂言・清水 シテ山本則重 アド山本則秀
仕舞・菊慈童 観世三郎太
  ≪休憩 30分≫
仕舞・高砂 観世芳伸
仕舞・西行桜 関根祥六
仕舞・花筐 野村四郎
仕舞・天鼓 山階彌右衛門
舞囃子・羽衣 観世清和
  ≪休憩 20分≫
能・道成寺 シテ武田宗典

なんというか、「書いてるだけでおなかいっぱい」な番組表。
開演は13時。終わったのは18時40分。^^;

安宅は勧進帳です。弁慶役、シテの武田宗和さんは武田さんのお父上。すごかった。なにも書いてない巻物を勧進帳として読み上げるところ、グレイト。ただ、自分の席が脇正面だったので、掛け合い相手の関守がシテやほかの山伏たちの陰になって見えず。。。
演者の多い曲ですが、最後まで迫力と緊張の一時間半。すばらしい。
続けて、勧進帳の緊張を和らげる山本兄弟の狂言。こちらも見事でした。
この時点で観てる方の精神力消費がすでに大きい。^^;
仕舞・舞囃子は自分の鑑賞力が追いついておらず、パフォーマンスそのものの評価はできません。ごめんなさい。謡も高砂だけはある程度分かるけど、他は聴き取れん。
ただ、メンバーがハンパないことだけは分かる。というか、観世26代宗家が舞ってるよ。。。

2回目の休憩を明けた16時50分ごろ、いよいよ武田さんのハレ舞台、道成寺のはじまり。
まずは狂言鐘後見4人で鐘を持って登場。舞台天井の滑車に綱を通し、すこし遅れて登場の鐘後見とあわせて鐘を吊るす。この狂言鐘後見のメインふたりが番組で狂言を演じた山本兄弟。長い竹の棹を使っての綱を天井の滑車に通すところ、完璧な距離感で一発でばっちり通してた。なにげなくやってるように見せて、すごいワザ。
寺の僧たちや寺男が現れて道成寺がはじまり、住職や寺男の口上のあとで、いよいよシテ、武田さんの白拍子の登場。
と、このタイミングで現れる後見を見てびっくり。出てきたのは観世清和・武田宗和・武田尚浩の3氏。番組表ちゃんと見てなかった。盤石な後見っぷりですな。
白拍子が入ってきて、橋掛かりを過ぎて本舞台に入ったところで「作りし罪も消えぬべし」と謡う。ここで、あぁ武田さんの声だ、とひとまずホッと(?)した。
寺男とのやりとりのあと、烏帽子をかぶり、乱拍子に入る。シテの武田さんと小鼓(大倉源次郎さん)ふたりだけのロングセッション。
この乱拍子、長かった。。。長いのは分かって観ていても、ほんとに長かった。疲れました。^^;
そして、大鼓笛太鼓地謡も加わって盛り上がったところで、いよいよ鐘への飛び入り。長い乱拍子で疲れてた自分のテンションも再び一気に跳ね上がる。
自分の席は脇正面の前から3列目という、鐘の飛び入りを観るための絶好席。武田さんの鐘の飛び入りは

まさしく鐘に吸い込まれていく白拍子

でした。息をのむ、道成寺のハイライト。ばっちり。あぁ、このタイミングで拍手したい!

鐘落ちたあとの寺男ふたりの狂言はコミカルなところながら、声をあげて笑うほどではなし。でも緊張はうまく和らぐ。
住職の説明的昔話のあと、僧たちの法力パワー炸裂。鐘が上がり、白拍子から蛇体に変化した武田さん再登場。本舞台・橋掛かりを使っての大立ち回り。柱に巻きつくところも目の前で見る。そして、最後は祈り伏せられた蛇体が橋掛かりを走り、幕の向こうに飛び込んで退場。まさに飛び込んでいくところもよく見えた。

大立ち回りのあたりからはもう、カラダふるえるというか、しびれるというか、大興奮。
最後の飛び込みで「ぶはぁ」と息を吐き出しようやく弛緩。
僧たちの退場で拍手、狂言鐘後見の鐘の片づけで拍手、地謡・楽器のみなさんの退場で最後に大きな拍手。

終わってみれば、あっという間の6時間弱。
濃密な、すばらしいひとときでした。
このような会を成せるというのが、これまでの武田さんの日々の努力と徳によるものでしょう。
武田さん、おつかれさまでした。そして、おめでとうございました!
今後のますますのご活躍を祈念いたします。

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