2015-10-16:伊勢路、外宮御垣内参拝、神宮会館、そして神嘗祭

すばらしい御縁があって、神嘗祭の内宮での由貴夕大御饌を見学させていただけることになり、伊勢へ。
神嘗祭(かんなめさい、と読む)って何?というのは wikipedia をぜひ。

神嘗祭
https://ja.wikipedia.org/wiki/神嘗祭

その年の最初の稲の実り、初穂を神様にお供えする行事。天皇陛下が皇居内の田で育てられた稲をお手狩りされたものも伊勢神宮に来るんだぜ!

で、このお祭りの本当にコアなところ、内宮での由貴夕大御饌(ゆきのゆうべのおおみけ、と読む)という22時からの斎行を近くで観れるという機会に恵まれ、万難を排して伊勢に向かった次第。
通常、神宮って夜明けで開門して日の入りで閉門するから、夜間に入るということ自体がないものね。
本当にありがたい。

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今回は翌日のガンバアウェイもあるので、車で。
朝7時半に都内を出て、首都高から東名(御殿場から三ヶ日までは新東名)、伊勢湾岸道、東名阪道、伊勢道と走って、13時過ぎに内宮近くの神宮会館に到着。休憩込で6時間というところ。
平日昼間だもんで、まったく高速料金の割引が効かず、伊勢ICで出たときの表示が1万円超え。。。

都内で高速乗る前に走行メーターがキリのいいとこだったので、パチリ。
ちなみに自宅から神宮会館までは486km。

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神宮会館の入り口には奉祝神嘗祭の提灯。稲穂がかかっているのもこの時期ならではね。
時間が早いのでまだチェックインはできないけど、駐車と荷物預けと着替えのための一時的な部屋借りはできた。持参の紋付に着替える。
で、他のメンバーと集合する前に、とりあえずお昼だ!
おかげ横丁に移動し、豚捨で牛丼。運転も終わったのでビール呑んじゃうぜ。

15時に外宮にバスで移動し、御垣内参拝。
つつがなく済む。
つづけて多賀宮にもお参り。
ふだんならスペシャルなお参りだけど、今日は夜に本当にスペシャルなものが控えているので、なんとも前座感?
そんなこと言ったら怒られちゃうだろうけど。。。

IMG_1633ともあれ、ホッとして、神宮会館に戻る。移動は再びバス。
部屋にチェックインして、和装を解いて大浴場で足をのばし、ラクな着物に着替える。
しばらくのんびりタイム。
ロビースペースに神嘗祭についての説明展示コーナーがあって、捧げる品目説明があった。ガラスケース内なので撮りづらかったけど、パチリ。

ところで、ホテルに泊まると客室のデスクの引き出しに聖書がってのはよく見ますよね。とくに海外で。
ここ、神宮会館の場合、置いてあるのは聖書じゃない。

古事記だ!

竹田さんの古事記普及活動の一環であると facebook のコメントで教えていただきました。
日本書紀じゃないのね。

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夕食は食堂にみんなで集っていただく。
ほかの宿泊の団体さんたちも同タイミングで。
うちらは20人弱だけど、他はもっと多い人数さんたち。そして平均年齢高いなー。
食事は思ったよりも豪華でびっくり。
サラダにお刺身(カンパチとマグロ)に海鮮スープ鍋に金目鯛と鶏つみれの陶板焼きに茶碗蒸しに松茸のお吸い物。ごはんはてこね寿司になってた。

見事に四つ足の獣の肉がない!

神様にお供えする食べ物にもないものですしね。普段からそうなのかな、神宮会館は。

食後、19時に今回のメンバーでいったん集まり、今回の主催で神職資格をお持ちの寺西さんによる特別奉拝についての概要説明。
これがとてもよかった!
実際の由貴夕大御饌の見学者は全部で300人強だったみたいで、我々のメンバーは20名弱だけだけど、他の見学者全員が聞いておくべきと言える。
というわけで、以降の記述は彼女の説明の受け売りをいれつつ^^;


さて、いよいよ神嘗祭の内宮由貴夕大御饌。
内宮の中のいくつかの場所を巡ってのイベントなのだけど、お参りに行ったことのない方は様子分かりにくと思うので、以下の説明に際しては神宮のページの案内マップをあわせてご覧ください。

内宮の域内マップ
http://www.isejingu.or.jp/news/annnaizu/naikuannaizu.JPG

装いは昼間の御垣内参拝と同じく、紋付に袴着用。
携帯は持たずに部屋に置いていった。マナーモードでも震える音でちゃうし、カメラ撮影とかの動作で雰囲気壊したくない。手水舎で手を清めたあとのためのハンカチを懐中したのみ。

もちろん撮影していいものでないし、奉拝中の私語も厳禁。

寺西さんの受け売りだけど「昼間はヒトの時間、夜は神様の時間」とのことで、あくまで神様のための祭祀に御縁あってご一緒させていただくもの。畏まっているのが当然。

20時に神宮会館を出て、宇治橋前へ。宇治橋前の衛士詰所で受付し、待機。我々の受付はグループとしては3番目だったかな?
ここで1時間ちょい待機。
各所で待ち時間の長いイベント。
畏まって、ガマンガマン。

21時過ぎに宇治橋をふさいでいた柵が外され、提灯を持った衛士さんに先導されて、受付したグループ順に宇治橋を渡る。

なんかもう、暗闇の中、橋を渡るってだけでかなりテンションがあがる^^;

暗い中の神宮に入るってこと自体が普通ないことだもの。そして、いよいよ神様の世界だぜ!と。
橋渡って、砂利道を進みながら手水舎へ進む。途中、灯篭が灯されてはいたけど、配置はとてもまばら。あとは衛士さんたちの提灯だけだから、本当に暗い。
天気よくてよかった。これで雨だったら大変なんだろうなぁ。もちろん、雨が降ろうが台風だろうが毎年つつがなく続いているそうだけど。。。
なお、手水舎は、実は屋根の内側に灯りが仕込んであって、手と口を清めるのに不自由はしなかった。まさかあんなところに灯りが仕込んであるとは!(笑

IMG_1642手水舎で清めた後は一の鳥居、二の鳥居とくぐって、神楽殿の先の忌火屋殿(いんびやでん、と読む)の前まで進み、ここで待機(写真は翌日の明るいところで撮影。奉拝のときは結界はなかった)。
40分くらい待ったかな。まぁ、けっこうキツい。
22時ちょい前に遠くから太鼓のどーん、どーん、という音が聞こえてくる。
しばらくして、神職がひとり出てきて、薪を組んで火を焚きだす。そして2,3mの松明(?)を10本くらい持ってきて、そのうちいくつかに火を灯す。
それを眺めながらさらに待っていると、広場の奥、建物前のところに神職たちが駕籠のようなもの(辛櫃と言うそう)を順次運んでくる。中に入っているのは調理済の神饌(熟饌)。これから捧げる神様のごはん。
そして、20人くらいの神職が1列にザッザッザッザッと出てきて、広場のそれぞれのところに配置につく。先頭のおふたりがいろいろ動いてなにやらいろいろなアクション。
その間も火を扱う神職さんが随時松明の火を調整してた。
おふたりによる一通りの所作が終わった後、ふたたび神職たちは列をつくり、松明持ちの神職4人がその四方を囲みながら照らす感じで御贄調舎(みにえちょうしゃ、と読む)に進んでいく。
ここまで、各人の所作がえらく荘厳でカッコいい。

まさに様式美

ちなみに忌火屋殿前のこのイベントは修祓といって、つまりはお祓い。
あと、これらの祭祀、基本的にリハはないらしい。個々に練習・脳内稽古した上で本番に臨むのね。
能がリハなし一発公演なのと同じ感じかな、とこの話を聞いたとき思ったけど、よくよく考えてみたらそもそも能が神事由来なのだった。。。

IMG_1643神職たちが通り過ぎた後、我々も御贄調舎へ向かう(こちらの写真も翌日の明るいところで撮影。奉拝のときはもちろん樹にへばりついてるような輩はいなかった、、、はず)。
ここでは何人かの神職が御贄調舎の中に入り、ついたて(?)の外側にも何人か待機している感じ。
御贄調理の儀というイベントで、御贄調舎の中では鮑の調理(包丁を入れて、塩を振る)をしているらしい、、、んだけど、よく見えない^^;

しばしして調理が終わると、神職たちは列をつくって石段を登り、御正宮の中へ。
いよいよ大御饌を奉る。
ここでも神職たちが進み終わったあとで我々も続くんだけど、これは本当に見えない。なにしろ御垣内のその中の建物内でのイベント。
我々は御垣内の中にすら入れないものね。
ここでは笙の演奏もしているようで、その音色を聴きつつ空の星を眺めながら待っていた(まわり暗いし空気きれいなんで、とてもよく星が見える)。

御正宮の中のイベントが終わると、また神職たちは列をつくって御垣内から出てきて、そのまま石段を下りていく。

これはなかなかの迫力

御正宮に続いては荒祭宮(あらまつりのみや)で同じく大御饌を奉る。
これは石段の下からだけど、宮前で神職たちがやっている所作がなんとなく見える。
八度拝(はちどはい)をしてるのとかね。
荒祭宮でも御正宮でやってるのと同じことをやるそうで、昼間に見たように素焼きの皿を並べたところにお供えしていって、八度拝していってるのかなぁ。
ちなみにこちらでは笙はなし。

荒祭宮で大御饌を奉ると、由貴夕大御饌は終了。
神職たちが去ったあと、我々も衛士さんに導かれて退出。23時半すぎだったかな?
4時間弱の外での立ちっぱなしイベントで、疲れはするけども、それ以上に精神的に張るものがあって、なんとも充実したキモチ。

なお、内宮ではこれと同じものを由貴朝大御饌として翌2時からもやる。
ただ、こちらは見学できないので、神職たちだけでつつがなく行われるのだろう。

奉拝してみて、なんともまぁすごいものが受け継がれているのだなぁ、と。
とても貴重な体験でした。
寺西さん、本当にありがとうございました。

やっぱり、祭りっていいな!


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翌日は早朝御垣内参拝。
6時に宇治橋へ。
この時間だと見事に逆光^^;
お清めは手水舎ではなく、五十鈴川御手洗場(いすずがわみたらしば)で。
あやまって全身を清めてしまわないよう気を付けましょう(・∀・)といっても、そんなに冷たくもなかったけど。

御垣内参拝をし、荒祭宮にもお参りして、今回のお伊勢さんはおしまい。
最後に宇治橋のとこで写真を撮ってもらった。
ちょっと眠そうな顔。。。
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