2016/06/28 (火)

2016-06-28:AIの衝撃 人工知能は人類の敵か


明日の読書会の課題図書ということで、kindle 版をポチッて3時間ほどで読了。
著者の小林雅一氏は東大の理物(理学部物理学科)の修士を出て、雑誌記者・新聞社勤務をしたりメディア論専攻で留学したりしてのKDDI総研リサーチフェローとのことですが、うーん。。。

多分に煽りのある章・節のタイトルや、「超先端の」などの情緒的な修辞語が目につく。
いろんなことをこれまでの歴史をさらいながら書かれているのだけど、

で、結局何が言いたいの?

が分からなくて、なんともモヤる。
AI って?機械学習って?ってあたりを知らなくて興味を持つ層には、それなりに網羅して書かれていて得るものあると思うのだけど、そこに(自分にとっては)無駄な情緒が織り込まれててなんとも中途半端感。

「はじめに」で AI の技術の進展によるプラス面とマイナス面を指摘していながら、本編では「アメリカではこうこうなのに日本は現状どうこうで」とか、「なんでもクラウドに持ってかれるから私たちのプライバシーは」とか、論点を振り回してるのが自分には気に入らないのかな。
その点、第4章の最後は「はじめに」のマイナス面についてのひとつの答えを「著者の思いとして」書かれていてそこだけはよかったです。

編集さん、もっとがんばってください。

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2015/10/21 (水)

2015-10-21:「捨てない未来」はこのビジネスから生まれる

友人づきあいをさせていただいてる岩元さんの著作。
今日のGoデロリアンには伺えないので、罪滅ぼし(?)に書評をば。

起業して8年強のリサイクルベンチャー日本環境設計と、氏の社会人キャリアを綴った自伝的な本。
とても平易に書かれていて、また構成もすばらしく、びっくりするほど読みやすい。
起業にあたってのモチベーションがあり、それを実現する技術開発があり、その技術をビジネスとしてまわすための仕組みづくり・ブランディングがあり(事業化)、事業を支えるための収益構造があり(マネタイズ)、そもそもなんであんたそんなことできるようになったの?という氏のキャリアの振り返りがある。

見事な書きっぷりに驚いた。早い人なら読むのに1時間もかからないんじゃないかな。
でも中身は濃密。
ケースとしてすばらしい題材だと思う。

文中に触れられているが、大ヒットしたハリウッド映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー』シリーズの第2作の中で、タイムマシン機能を持った車、デロリアンが未来の世界でごみを燃料にタイムトラベルをするシーンがある。
氏は自分で手掛けた、ごみからリサイクルした燃料でデロリアンを動かすのを夢として長く持っていたという。
そして今年のはじめにユニバーサルスタジオに電話をかけ、リサイクル燃料でデロリアンを動かすイベントをさせろ、そしてバック・トゥ・ザ・フューチャーの公式イベントとして認めろと直談判。見事通る!
作品中で主人公が向かった未来は2015年10月21日、つまり今日。
今日のこの日にお台場でデロリアンが走るのだ。

FUKU-FUKU×BTTF Go!デロリアン走行プロジェクト
http://fukufuku-project.jp/GoDelorean/

お時間ある方はぜひ現地へ。
現地に行けない方もニコ生があるらしいので中継を視聴しましょう。

ところで、小口の真ん中にページ番号を振るの、自分は結構好きです^^;
こういうの、電子書籍版だと気付かないんだよな。

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2015/01/09 (金)

2015-01-09:『クレイモア』最終巻

いつの間にかクレイモアの最新刊、というか最終巻が出てたのね。
アツく終わっていてよかった。
あと、最後にちゃんとルヴルが扱われているのも嬉しい。
ああいうキャラ好きなんですよ。

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2014/08/27 (水)

2014-08-27:絶対音感

今日は月イチの読書会。
なんだけど、所用で参加できないので、軽く書評だけ。

1998年の小学館ノンフィクション大賞作品。
絶対音感とはなにか、からはじまり、絶対音感を身につけるメソッド、それの日本の音楽教育の歴史のなかでの功罪、そして音楽とはなにか、演奏し人を感動させるとはなにか、ヒトはなぜ音楽が聴覚知覚から情動へつなげられるのか、といった壮大なテーマを、多数の音楽家・科学者へのインタビューをもとに構成した作品。
とにかく、ボリュームがすごい。文庫本で430ページ。よくぞ書き上げた。
巻末に取材協力者一覧があるのだけど、見ててクラクラする(人数もさておき、並んでる名前が。。。)。

とりあげている音楽がクラシックメインなので、そちらに多少の知見があったほうが途中挫折のリスクが下がるかな。作曲家なり曲なり調の話なり。慣れない方にはつらかろうと思う。
日本の音楽教育のところでは、園田高弘の父、清秀の話がアツかった。また自由学園の話がでてきて、おおお、と思ったり。

絶対音感およびヒトがどう音楽を楽しむかを科学からアプローチする部分は、読書難易度的にどうなんだろう。
自分は一応、かつて知覚心理学の研究室に籍があった者なのでふつーに読めはするのだけど、門外の方にどうだったかは伺ってみたいな。
平易に書かれているとは思った。
(自分がやっていたのは視覚なので、聴覚については学部生の講義レベル知識ですけど、読んでていろいろ懐かしかったり)
ただ、この部分は「いまの知見はこんなです」という紹介まで。サイエンスを追及する本じゃないしね(1998年の著作なので、いまは当時より知見が広がっていると思うけど、あんまりそこは重要じゃない)。

著者がこの本で伝えようとするのは「絶対音感がなにか」ではなく、「絶対音感云々のその先」。
本の序盤からちょいちょい登場していた、ヴァイオリニストの五嶋みどりと彼女に英才教育を施した母の節、みどりの異父姉弟の龍と、節の再婚相手の摩承の話が最後の第8章に書かれている。
正直、これまでの流れからは唐突だし、長いし、ナニコレという章なんだけど、絶対音感のない苦労から娘には持たせようと願った母と、逆に持つことでの苦労も味わった娘、その成長過程と親離れ子離れの葛藤、音楽で人を楽しませる・本人が幸せになることは絶対音感のありなしでは決してないことが書かれている。

自分は絶対音感を持っていないので、持つ人にあこがれはあります。
ただ、この作品で「持ってる人の苦労もヤだな」と思うし、「平均律ばりばりな音感も厳しかろう」と思ったり。
自分の経験楽器はピアノと木管で、弦や金管みたいに自分で音を定義する楽器は経験がない。でもキー押さえれば音が出てくれるから、それでいいや。
とはいえ、こどもできたら一音会に通わせてみたいと思っていたりもするんだけどね。^^;
近いし。

本の出来としては、目次にもっと努力を、と思う。この章立てが最適解だとはとても思えない。
もちろん、この膨大な量をここまでまとめたのもすごいんだけど、だからこそもったいないかな。
もっと読者へのいい誘導を出来たと思う。

音楽好き、クラシック好きは読んでおいて損のない本。勉強になります。
ただ、読むの大変なので、がんばってください。

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2014/07/30 (水)

2014-07-30:読書会

月イチ読書会。
今回のお題は自分の提案が通って、『理性の限界』。
自分としては、内容については「ふーん、へー、ほー」という感じ。
ただ、この内容を本にまとめあげるのは偉大と思った。

それと、理系外の参加者がどういう反応なのかに興味があってお題提案したんだけど。。。
今回参加者少なくて、あまり分からず。
そして、本の第1部の選択の話から日本の選挙制度で盛り上がるという、事前予想できなかった展開。

次回は『絶対音感』になった。
さっそく kindle で 1-click。

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2014/05/20 (火)

2014-05-20:読書会

大学先輩主催の月イチ読書会。
テーマは『パーソナリティ障害―いかに接し、どう克服するか (PHP新書)』。
先月の会でのある参加者の「小保方女史は演技性パーソナリティ障害ではないか」というコメントから。

この本、プロローグと第I部でパーソナル障害とはどういうものかを解説し、第II部で10種類の障害タイプ(境界・自己愛・演技・反社会・妄想・失調・シゾイド・回避・依存・強迫)の個別の説明があり、おわりにで結ぶ。
第II部では、それぞれがどういう特徴かだけでなく、具体的事例(自己愛性のサルバドール・ダリやココ・シャネル、失調性の夏目漱石とか)や、そういった方への接し方のコツ、本人の克服のポイントなどが記されている。
ただ、これは著者の問題というより編集者の問題だと思うのだけど、第II部に入る前の

第I部がとにかく読みづらい

失礼ながら、教えることに慣れていない理系の先生感バリバリ。
そこで、これからこの書籍を読んでみよう、という方には次の順序で読み進めることをおすすめする。

  1. プロローグ
  2. 付録 パーソナリティ自己診断シート
  3. 第II部(第三章~第十二章)
  4. おわりに または 第I部(第一章・第二章)
  5. 第I部(第一章・第二章) または おわりに

付録についている診断シートはネタバレ(?)の前にやっておいた方がいいように思う。
これは各10の障害タイプそれぞれについての自分の傾向を知るというもの。第II部読んだ後だと、「あぁ、この設問はアレか」というのも分かっちゃうので。

おわりにの文章がなかなかによかった。一部を以下に引用。

パーソナリティ自体は、その人の人柄であり、そう簡単には変わらないし、変える必要もない。しかし、パーソナリティ障害は、パーソナリティの度が過ぎて社会に適応して生きていくのを邪魔している部分なので、変える必要があるし、実際、変えることができる。
(略)
リンカーンは、中年を過ぎたら、人は自分の顔に責任があるといった。同じことがパーソナリティについてもいえるだろう。若い頃は、パーソナリティは、生まれ持ったものや育ってきた環境によって大きく左右される。しかし、ある程度の年齢になれば、自分の弱点を克服しようと努力した人と、問題に向かい合わずに過ごしてきた人との差は歴然となる。
そこそこの年になれば、人は自分のパーソナリティに対して責任があると思う。その年になれば、親や不遇な環境のせいにばかりはできないのだ。いかに生きてきたかが、その人のパーソナリティには、顔に刻まれた皺のように刻まれている。

書かれている通り、度を越しているか(閾値を超えるか)が「障害になるか」。誰しもが傾向なりばらつきを持つもので、それを個性とも呼ぶのだろう。
ちなみに、筆者の自己診断、強迫性・演技性・自己愛性で閾値以上という結果。まぁなんとなく納得。
そういうことも自分で分かったうえで、折り合いをつけ、また他者と関わっていくのがよい人生を送るために大事なことではないだろうか(月並み感)。

多くの人におススメできる一冊。第I部は読みにくいけど。。。
2004年の新書。数年前には kindle 版にもなっているので、端末お持ちの方はそちらでも。

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2014/04/23 (水)

2014-04-23:読書会

大学の先輩主宰の月イチ読書会。
テーマは『呆韓論』。これまでで一番「読んでてなんだかな」というお題だった。^^;

問題(?)なのは、こんな本が20万部も売れてるらしいことだなー。
んなもん、ほっとけ、って話ばかり。

次回はおぼっちネタでパーソナリティ障害。
自分がどのパーソナリティ障害なのか知っておくのは大事と思う。

DSC_43722時間弱の議論のあとは、中華で食事をし、さらには有志でバーへ。
自分はBOWMOREをいただいたあとで、おまかせでラムをいただいて、終電であがった。
いただいたラムを忘れないようにと写真をパチリ。
DIPLOMATICOでした。いいチョイスをしていただき、感謝。

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2013/11/20 (水)

2013-11-20:読書会

大学の先輩主宰の月イチ読書会。
今月のお題は『日本語を書く作法・読む作法』。
ちょっと前のカドカワフェアのときに安く買ったものを、「さらっと読めるし、こんな本もたまにはどう?」と提案したら課題図書として採用されてしまった。^^;

DSC_3622会としては自分が最初に参加者に対して書籍を kindle 版のリンクで薦めてしまったのもあり(右のリンクは紙書籍版です)、電子書籍と紙書籍、街の本屋の存在意義などから入り、国語教育の話で盛り上がった。
参加人数の少ない月だったけど、議論のアツさは変わらずで、今月もとても楽しい夜でした。

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2013/10/01 (火)

2013-10-01:amazonのカドカワ祭り

amazon で「オールカドカワフェア」というのをやってて、

期間限定、カドカワのKindle本・Kindleコミック 1万タイトル以上が50%OFFまたは50%ポイント還元!

なんてことになってるんで、ヒャッハー!祭りだぁ、とポチポチ買いまくるの巻。

ただ、対象件数が「検索結果12,143件」なので、探すのタイヘン。
つか、ラノベとかBLがものすごく多い。のでページ左の出版社ごとのチェックボックスを利用しながらのジャケ買い。

最後のザ・ワールド・イズ・マインがオトナ買い15冊だけど、それも2500円弱。
このリストトータルで5ケタいかないのよね。ありがたい。

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2013/07/24 (水)

2013-07-24:読書会

大学の先輩主宰の月イチ読書会。
今月のお題は『反省させると犯罪者になります』。
著者は刑務所内で受刑者の更正に携わっている方。正直、タイトル一発釣りな本だろうと思っていたんだけど、なかなかにしっかりした著作だった。
彼のしていることはある意味「医療行為」のように思えた。
問題行動があったときに、安易にすぐ「反省してます。もうしません。」と反省文を書かせても更正はしない、むしろ内圧を溜めこんでしまう。問題行動の原因を掘り起こし、本人にそれを自覚させなければ更正はない、と。
少し見方違うけど、『PS羅生門』で「心のキズって、自分でエグってやっと癒されると思ってるんだよね」というのを思い出す。古いマンガですが。
(そういえば、矢島正雄氏はオリジナルでまた原作書いてくれないかなぁ)

ただ、本に書かれていることは分かるんだけど、なかなかシステムとして更正プログラム化していくのはむずかしいんだろうなぁ。
著者も「診れるのは年に数人」とのことだったし。

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2013/01/30 (水)

2013-01-30:10の仕事を1の力でミスなく回す トリアージ仕事術

金曜日に参加する勉強会のテーマで、スピーカーの方の近著。
あぁ、急いで入手せな、と amazon で探したら kindle 版もあった。ラッキー。
1-Click で買って、手元の kindle の電源を入れると、すぐさまダウンロードされる。
お急ぎ便の宅配よりもはるかにいいよね、これ。すばらしい。

外科医から病理医に進み、病院経営でMBAをとり、コンサル業もされている著者による、まぁいわゆるビジネス本。
1時間ちょいで読了。
いくつか「これ真似してみよう」と思えるワザもあり、1200円分の価値(kindle版は安くなってる)あった。
しっかし、外科医の生活って時間密度高いんだろうなぁ。
つい日々をだらだら過ごしてしまう自分とは、同じ一日でも得ている経験値がだいぶ違いそうだ。
自分も日々もっとアドレナリン出してがんばっていかねば。

とまれ、金曜の勉強会が楽しみである。

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2013/01/29 (火)

2013-01-29:読書会

大学の先輩主宰の月イチ読書会、今年一発目。
お題は立花隆の『宇宙からの帰還』。
NASA のジェミニ・アポロ・スカイラブ計画で宇宙に出た飛行士たちに、宇宙体験が彼らの内的にどのような影響・変化を与えたかをインタビューしてまわったもの。
初版は1980年。
自分が今回買い求めたのは37刷で、巻末に野口聡一さんとの対談が数ページついている。

この本、とても面白い。
30年以上前の本で、当時といまではさまざまな環境要因が違うけど、当時の飛行士たちがどういう努力をして宇宙に行くことに選ばれ、そこでどのような体験をし、その後なにをしているかが語られている。
人によってはその後宇宙を忘れてひっそりと隠れて過ごされている方がいたり、宗教の伝道師として全国飛び回る方もいたり。

ポジティブなことばかり書いているわけでもない本だけど、「宇宙に行きてぇ」という気持ちがフツフツと湧き上がる。
早く宇宙エレベーター実用化されて、低コストで上がれるようになってほしいなー。

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2012/11/19 (月)

2012-11-19:豊田徹也『ゴーグル』

仕事場帰りにふらっと本屋を覗いたら、豊田徹也の『ゴーグル』が出ていたので、購入。
好きな作家さんの短編集。一コマ一コマの使い方が、じわじわ、いい。
ほとんどアフタヌーンなりで既読ではあったけど、まとまって読めて嬉しい。○○という作品は△△の以前のシーン、みたいなのもあるし。

コーヒー好き、喫茶店好きとしては、もうひとつオススメ作品があるので、そちらもリンク貼っときます。こちらも短編集。

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2008/06/03 (火)

2008-06-03:算数の本の売れ行き

編集さんと打ち合わせ。
算数の本は5000部が編集部から出ているそうで、実売3000、書店の在庫で2000ぐらいじゃないか、という読み。
発売はじまってもうすぐ4ヶ月。がんばって売れ続けてほしいものです。

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2008/02/07 (木)

2008-02-07:オコト始め前日

アフタヌーン連載の妖怪まんが『もっけ』に「ダイマナコ」というお話があります。
12月8日のオコト納め・2月8日のオコト始めのあたりに、ダイマナコという疫神が人々の生活がキチンとしているか調べにくる。洗濯物や玄関に脱いだ靴とかがちゃんと片付いていないと、帳面につけられて、あとあと厄をもらうそう。
この時期は寒いし乾燥するし、ちゃんと生活しましょう、という教訓をもとにした伝承なんでしょうね。夜に爪を切るな、みたいな。

最近は都会化も核家族化も進み、こういうったおじいちゃんおばあちゃんから伝え聞くような、躾けられるようなことがどんどん減っています。
作中のダイマナコと主人公姉妹の姉との以下の会話。

大眼「この辺りはまだいいですよ」
大眼「まだ私共を覚えていて下さる人々や物が在る。だから来れる」
静流「・・・そういうのが無いと貴方達は来れないの?」
大眼「来れませんね」
大眼「それは貴方達もそうでしょう」
大眼「貴方が此岸(こちら)を離れ、此岸で貴方を覚えている物が何も無くなれば・・・」

一方で、こういうったことが忘れられるのも人の文化の移ろいであり、また新しい何かもどこかで誕生しているのだと思います。
作中で主人公姉妹の祖父がそう発言していますし、ダイマナコは去り際に以下のようなことを言います。

「私共はいずれ消えるでしょう。でもそれは目出度くもあるのです」

ともあれ、オコト始めを明日に控えた今日。
身の回りのお片付けをしてみるのもよいのではないでしょうか。

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